反復性耳下腺炎ーこどもの耳下部が繰り返し腫れて痛むー
2018.06.15
一番大きな唾液腺である耳下腺が腫れる病気でよく知られているのはおたふく風邪ですが、耳下腺が何回も繰り返して腫れる場合があります。反復性耳下腺炎は、決して珍しい病気ではありません。
元々狭い唾液の流れる管(導管)に炎症が加わって、唾液の流れが滞って腫れる病気で、痛みがあっても発熱はなく、唾液が流れ出せば数日で治ります。小児で発症して、思春期には治るのが普通です。
おたふく風邪との鑑別が難しい時などは、当院では超音波検査を行っています。反復性耳下腺炎では、耳下腺組織の中に小円形低エコー域の多発が見られます。この所見は、拡張した導管かその周囲のリンパ球浸潤によるものだと言われています。
図は腫れがほとんどなく、原因不明の耳下部の痛みだけを何回も繰り返して、多くの病院を受診しても診断がつかず、当院を受診した子の超音波検査所見です。グレーの耳下腺組織の中に多数の黒い丸が見られます。この子は、超音波検査をしなければ、診断がつかなかったでしょう。