2歳未満のお子さんの急性中耳炎が遷延し、反復して治らない
2020.12.12
お子さんの中耳炎が治らない理由
肺炎球菌ワクチンが普及し、新しい抗生物質も登場して、10年ほど前に比べるとかなり少なくなりましたが、急性中耳炎が遷延したり反復して治らない2歳未満のお子さんは、今でも結構いらっしゃいます。それには以下のような理由があります。
*原因となっている起炎菌に有効な抗生物質を適切な量と期間使っていない
*合併する鼻副鼻腔炎をきちんと治していない
*多剤耐性菌(多くの抗生物質が効かない菌)がついている
*抗生物質を続けているうち、カビ(カンジダ)がついて、耳漏が止まらなくなっている。
*2歳未満のお子さんでは、免疫が未熟である
難治性中耳炎の治療
細菌検査を行って、有効な抗生物質を必要な量と期間使うのが原則ですが、抗生物質だけで難治性中耳炎を治すことは難しく、長期の抗生物質投与は、多剤耐性菌を増やして、かえって中耳炎を悪化させます。鼓膜切開は、迅速に痛みを取ってと熱を下げる事ができますが、一時凌ぎにしかなりません。
そのようなお子さんでも、鼓膜にチューブを入れる手術を行うと、大多数のお子さんで中耳炎を全く起こさなくなり、たとえ起こしてもすぐ治るようになります。
当院では、急性中耳炎が遷延したり反復して治らないお子さんに、局所麻酔で鼓膜チューブ留置を行っています。全身麻酔は2歳未満のお子さんではリスク等もありますし、開業医でこの手術を行っている医院はそれほど多くありませんので、遠くからこの手術を希望して当院にいらっしゃる方もあります。