耳垢栓塞(みみあか)
2018.05.11
小学生のお子さんが耳鼻咽喉科健康診断でこう判定されることがときどきあると思います。
本当にご家庭では除去することができないぐらい耳垢が詰って、聴こえにも影響が出そうな場合と、単純に耳垢のせいで鼓膜が見えず、診断がつけられないだけの場合があると思いますが、こう判定されたらいずれにせよ、耳鼻咽喉科を受診してください。
耳垢を取ってみたら、保護者の方が気がつかないままでいる滲出性中耳炎などが見つかることが時々あります。耳垢は、外耳道の皮膚の古い上皮が剥がれたものと耳垢腺からの分泌物とでできています。前者が主体のものを乾性耳垢、後者が顕著なものを軟性耳垢と呼びます。
耳垢腺の分泌の程度(耳垢腺の数)は、常染色体優勢遺伝によるとされます。ご両親のどちらかでも軟性耳垢だと、お子さんもそうなるということです(いろいろな条件で、例外もあるようです)。
白人の方や黒人の方では大多数が軟性耳垢です。日本人では、1割5分から3割が軟性耳垢だと言われています。中国や韓国の方はもっと少ないそうです。軟性耳垢の方が乾性耳垢に比べ、耳垢栓塞を起こしやすいです。
軟性耳垢は、茶色いべたべたしたもので特有の匂いがあります。赤ちゃんの耳が臭いと心配して受診されるお母様がときどきいらっしゃいますが、たいていはこれです。耳垢腺は、汗腺のうち匂いのあるアポクリン腺と同じものだとされています。
耳垢腺の分泌物は毎日少しずつ分泌されて、たくさん溜まってから取ろうと思っても奥に押し込んでしまうだけになることが多いです。そうなったら、もう耳鼻咽喉科でなければ取れません。