嗅覚障害の治療
2018.05.11
新型コロナウィルス感染で嗅覚障害を起こすことはよく見られますが、多くは一時的な粘膜の炎症や腫脹によるもので、2、3週間のうちに治ります。中には副鼻腔炎を起こしたり、嗅神経がダメージを受けて長期続く方もいらっしゃいます。
副鼻腔炎による嗅覚障害は、副鼻腔炎の治療とステロイド(リンデロンないしオルガドロン)の点鼻で、ほとんどの方が治ります。ただしこれらの点鼻薬は、長期連用すると全身の副作用が出ることがありますので、注意が必要です。
しかし、好酸球性副鼻腔炎では、点鼻だけでは嗅覚は戻らないことが多いです。好酸球性副鼻腔炎の患者さんの多くは気管支喘息を合併していますが、喘息治療でステロイドと気管支拡張剤の合剤を吸入するとき、吸った空気を口からではなく鼻から吐き出すと、効果が出る場合があります。
嗅覚障害の原因として副鼻腔炎の次に多いのは、感冒(風邪)のウィルスによる嗅神経の障害です。嗅神経の修復には、当帰芍薬散などの漢方薬が有効な場合があります。
1日何回か、数種類のにおいを10秒ほど意識してクンクン嗅ぐトレーニングも、有効とされています。