小学校で児童11人が救急搬送 ビワアレルギーか
2019.06.08
一昨日、東京大田区の小学校でビワ・アレルギーと思われる症状で、生徒11人が救急搬送されたというニュースがありました。
春はスギ花粉による花粉症(2月から4月)が有名ですが、スギの他にもヒノキ(3月から5月初旬まで)やハンノキ(1月から少し飛びますが主に3月から5月初旬まで)の花粉症もあります。5,6月にはカモガヤなどイネ科の雑草の花粉症、9月ごろにはブタクサなど秋の雑草の花粉症もあります。
ハンノキ(北海道などではシラカバ)のアレルギーがあると、その花粉と共通の抗原性のあるバラ科の果物(リンゴ、モモ、サクランボ、洋ナシ、ナシ、スモモ、アンズ、イチゴ、ウメ、ビワ)やナッツ、豆乳(生の大豆)で口腔やのどにアレルギーを起こす口腔アレルギー症候群を起こすことがあります。口腔アレルギーはたいていは口やのどがかゆいだけで済みますが、まれにアナフィラキシーショックに到る重いアレルギーを起こすこともあります。
とくに重いアレルギーを起こすことが多いので注意してください、とハンノキ花粉症のある患者さんにお話ししているのは、豆乳のがぶ飲みとビワです。大豆も充分加熱されていればアレルギーを起こさないのですが、豆乳には生の大豆の成分が含まれているのだと思われます。それを一気に大量に摂取するので、豆乳のがぶ飲みで重いアレルギーが出るのでしょう。一方、バラ科の果物の中でも、ビワがしばしば重い症状を起こすのはなぜでしょうか。
花粉症一般に言えることですが、花粉の飛散期には、花粉の抗原に対して反応する身体の中の抗体はだんだん増えていきます。花粉にさらされないと、抗体はだんだん少なくなります。だから花粉が飛び終わって何ヶ月もたった花粉飛散直前が一番抗体が少なく、逆に花粉を浴び続けた花粉飛散終了の頃には抗体が増えて一番花粉に敏感になるのです。それは花粉と共通の抗原性がある果物に対しても同じです。
バラ科の果物の中でも、ビワがしばしば重い症状を起こすのは、ビワがハンノキ花粉の飛散が終了した直後に出回る果物だからでしょうか。
夏のイネ科の雑草(カモガヤなど)、秋のブタクサなどの花粉症を起こす方もいますが、メロン、スイカ、きうり、パイン、柑橘系、アボガド、トマト、バナナなどによる口腔アレルギー症候群は、雑草の花粉と関連があると言われています。