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運動誘発の食物アレルギー

2019.05.17

先日朝日新聞の第1面に、運動誘発の食物アレルギーの記事が出ていました。代表的なのは、小麦依存性運動誘発アナフィラキシーです。他の原因には、エビ、カニ、果物、ナッツ類があります。新聞では、菓子パンを食べたあとサッカーの練習中に発症した13歳のお子さんのことが書かれていましたが、この病気は幼児期ではなく学童期に発症することが多いようです。

 

しかし、50歳を過ぎてから、発症することもあります。今まで子供の頃から小麦を食べていても大丈夫だったし、発症したあとも小麦を食べても運動をしなければ何も起きないので、すぐには小麦のせいだと気がつかない方もいらっしゃると思います。

 

また、発症するかどうかは体調にもより、疲労、寝不足、風邪、ストレス、月経前、気候、アルコール摂取、入浴、花粉飛散時期、そして消炎鎮痛解熱剤の服用などがあると、発症しやすくなります。

 

小麦を食べても、その後安静にしていれば大丈夫なのですが、運動をすると重いアレルギーの症状が出る病気です。全身のじんましんやむくみ、呼吸困難などが現れ、血圧が低下してショック症状をおこすことも多いです。

 

少し蕁麻疹が出た軽度のうちに気付いて、その後抗ヒスタミン薬を内服して安静にしていれば回復することもありますが、ショック症状まで行ってしまったらすぐにアドレナリンの注射(この病気の方には、エピペンという自己注射キットが処方されることもあります)が必要だし、すぐ病院に搬送することが必要な場合もあります。

 

主に症状からの診断になります。一般のアレルギー検査(IgE)を行っても、小麦は陰性に出ることが多いです。(小麦に含まれるグルテンの素にもなるω-5 gliadin やHMW-glutenin といったものに的を絞った特殊なアレルギー検査では、陽性になることがあります)

 

ですから、食物アレルギーがご心配で検査をご希望される場合は、今までアレルギーが出た食物について、あるいは現在心配な食物について、医師によく相談していただきたいと思います。ただ、高い検査料を払ってやみくもに多くの食物のアレルギー血液検査(IgE)をしても、何も陽性に出ないことが多いです。

 

一般的に言っても、食物アレルギーについては、血液検査で陰性なら絶対大丈夫とは言えなし、陽性であっても絶対食べてはいけないというわけでもありません。口腔アレルギー症候群では、症状を出す果物のアレルギー検査をしても陰性で、共通の抗原性を持つ花粉症だけが陽性ということもよくあります。

 

血液検査は診断の補助的手段と考えて、まずは医師によく相談してください。

 

食物アレルギーは耳鼻咽喉科の専門範囲外ですが、花粉症などと密接な関係もありますので、ここに書かせていただきました。