診断(アレルギー検査)
血液1滴から41種類のアレルギーが30分で分かる検査(ドロップスクリーン)を行なっています。
指先から極く少量の血液を取るだけですので、お子さんや注射の苦手な方でも負担が少なく検査できます。
通常の血液検査では、結果が出るのに1週間ほどかかりますが、この検査は約30分で結果が出ます。(検査を行った時間帯によっては、結果のご説明が翌日以降になることもあります。)
診断には、
血液検査で抗体を調べて、原因を知ることが重要
抗体が増えても、未発症の方もいるので、症状、鼻内所見も重要
正しい診断により、
・予防(抗原回避)ができる
・治療計画が立てられる
(診断)
1 症状
2 鼻内所見
3 血液検査(抗体を調べる)
A RAST
・標準的検査
・調べる抗体を自由に選べる(最大13項目)
B ドロップスクリーン
・指先から極く少量の血を取る
・30分で結果が出る
・13項目分の検査料で41種類のアレルギーを調べることができる
C イムノラピッド
・指先から少量の血を取る
・20分で結果が出る
・決まった8種類の抗体だけを調べる
RAST | ドロップスクリーン | イムノラピッド | |
---|---|---|---|
項目数 | 自由に選択(最大13項目) | 41項目 | 8項目 |
対象抗体 | 鼻炎(呼吸系)and/or食物 | 鼻炎(呼吸系)and食物 | 鼻炎(呼吸系) |
採血 | 注射器による静脈採血 | 指先から極く少量 | 指先から少量 |
特徴 | 血管が細いと難しい | 小児でも可 | 小児でも可 |
同時に他の血液検査も可 | |||
結果が分かるまで | 7日程度 | 約30分 | 約20分 |
検査料(3割負担) | 最大約5000円 | 約5000円 | 約3000円 |
選択した項目数による |
アレルギー性鼻炎の症状
・くしゃみ、鼻水、鼻づまり
・のどのかゆみ、咳
・眼のかゆみ、皮膚のかゆみ
⬇︎
睡眠不足、集中力の低下
アレルギーの原因(抗原)
1 ハウスダスト(ダニ)=通年性
ダニ 夏 増殖→症状が出る
⬇︎
秋 死骸→症状が出る
2 花粉
・スギ→2月から4月
・ヒノキ→3月から5月初旬
・ハンノキ→3月から5月初旬
・カモガヤ(イネ科の雑草)→5,6月
・ブタクサ(秋の雑草)→9月ごろ
放置すると発症 ➡️ 花粉-食物アレルギー症候群:PFAS)
・果物アレルギー
・大豆アレルギー
・ナッツ類アレルギー
3 その他
・動物
・昆虫
・カビ
感作と発症
(感作) ➡︎ (発症)
抗原 吸い続ける 抗原
⬇︎ ⬇︎ 結合
抗体 増加 抗体
鼻粘膜の細胞 ➡︎ 反応 ➡︎ 発症
小児期―――――――――――――――――――――――→成人―→高齢者
・アトピー性皮膚炎
・気管支喘息 ➡︎ ・アレルギー性鼻炎
↘️ ↘️
多くが軽快 多くは高齢まで持続
アレルギー性鼻炎の治療
⭐︎薬→・症状を抑えるだけ
・根本的に治せるわけではない
1 抗原回避
・原因(抗原)を避ける、減らす
2 薬の選択→ 合った薬を選んで組み合わせる→満足度の高い結果
・飲み薬→効き目マイルド(眠気少ない)
効き目強い(眠くなりやすい)
・点鼻薬
・目薬
・貼り薬
・生物学的製剤(注射)
◎春の花粉症→花粉飛散の1週間前から(初期治療)
◎ハウスダスト→1年中・小児〜高齢まで続く→ずっと薬を使うわけにはいかない
3 舌下免疫療法→抗原を含む溶ける錠剤を、1分間舌下に入れてから飲み込む
・根本的に体質改善
(注意点)
・時間がかかる
・効果の出ない方がいる(少数)
・稀に副作用が出る
(レーザー治療の長所)
・入院せず短時間で行える
・出血、痛みがほとんどない
・術後比較的短期間で症状が改善
・学童にも行える
(注意点)
・効き目は個人差が大きい
・効果の持続→平均すると半年程度
原因の除去
アレルギーの治療でまず大切なのは原因抗原(花粉、ハウスダスト・ダニなど)の予防あるいは除去です。そのためにも、血液検査(RAST)などで原因を確かめることは必要です。
花粉症なら、
外出時にメガネ、マスクを着用する、花粉の付きにくい服を選ぶ(表面に凹凸が少ない素材)
外出から帰ったら、花粉をよく払い落とす、うがい、洗顔、目を洗うなどする。
洗濯物は外に干さない。
通年性アレルギーなら、
掃除機をこまめにかけて、ハウスダストを溜めない。
布団カバー、枕カバー、シーツなどの寝具をこまめに洗濯する。
縫いぐるみやクロス(布)貼りのソファをできるだけ置かない。
空気清浄機を使って、空気をきれいにする。
部屋の風通しを良くする(室温は20~25℃、湿度は50%を保つようにする)
ひとりひとりに合った薬の選択
アレルギーの薬には次のような種類があります。
I. 内服薬(飲み薬)
①第 2 世代抗 ヒスタミン 薬:
病院で処方されるアレルギーの薬の大多数がこれですが、第 2 世代抗 ヒスタミン 薬の中でも、眠気や効き目の強さには違いがあります。以下のようなことを考慮して、その患者さんに合った薬を選択します。
♣ 効き目の強さ
♣ 眠気などの副作用の強さ
♣ 価格(ジェネリックを選べるかどうか)
♣ 服用が1日1回か2回か、いつ服用するか
新しい薬の中には、第 2 世代抗 ヒスタミン 薬と他の薬を混ぜて、二つの効果を狙ったものもあります。
②抗ロイコトリエン薬:アレルギーの症状には、原因になる抗原が入ってきてすぐに起こる即時層だけでなく、数時間後に起こる遅発層があります。抗ロイコトリエン薬は、即時層の鼻閉だけでなく遅発層にも関与するロイコトリエンをブロックする薬です。
単独でも使いますが、第 2 世代抗 ヒスタミン 薬と抗ロイコトリエン薬を併用すると、さらに相乗効果があります。
③ケミカルメディエーター遊離抑制薬、Th2サイト カイン阻害薬、抗プロスタグランジンD2・ トロンボキサンA2薬
④経口ステロイド薬:他の薬が全く効かなくなっている場合でも、有効なことがありますが、副作用を避けるため、短期間の使用になります。
II. 鼻噴霧用ス テロイド薬
単独でも有効ですが、中等症以上でも、第 2 世代抗 ヒスタミン 薬と併用すると、さらに効果が出ます。重症の花粉症では、第 2 世代抗 ヒスタミン 薬、抗ロイコトリエン薬、鼻噴霧用ス テロイド薬の三者を併用することもあります。
Ⅲ. 点眼薬:最近はコンタクトをしていても使える点眼薬もあります。
Ⅳ. 貼り薬(第 2 世代抗 ヒスタミン 薬):昨年発売されたばかりの新しい薬です。
V. 注射(分子標的薬):最も新しい治療薬で、アレルギーを起こすIgE抗体に直接アタックする薬です。他の治療で十分治らない時に適応となります。
花粉症と口腔アレルギー症候群(花粉-食物アレルギー症候群:PFAS)
ハンノキのアレルギーがあると、そのせいで果物(リンゴ、モモ、サクランボ、洋ナシ、ナシ、スモモ、アンズ、イチゴ、ウメ、ビワ)やナッツ、豆乳(生の大豆)で口腔やのどにアレルギーを起こす花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)(口腔アレルギー症候群)を起こすことがあります。
他に夏のイネ科の雑草(カモガヤなど)、秋のブタクサなどの花粉症を起こす方もいます。なお、メロン、スイカ、きうり、パイン、柑橘系、アボガド、トマト、バナナなどによる口腔アレルギー症候群は、雑草の花粉と関連があります。
原因となる果物や大豆も、普通十分熱を加えれば、アレルギーを起こさなくなります。豆乳には生の大豆の成分が残っているので、豆乳のガブ飲み強いアレルギー(アナフィラキシー)を起こす方が稀ではありません。
他に特にアナフィラキシー)を起こす可能性が高いものとして、花粉シーズンのあとで身体が敏感になっている時期に出回るビワに注意が必要と言われています。最近東京の小学校で、ビワを食べた児童11人が救急搬送されたニュースがありました。